伊藤計劃 『虐殺器官』 (早川書房)

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

面白かった.ポスト911の社会と戦争・テロリズムの変容をドライに織り込んだ社会描写と,ウェットにじわじわ綴られる主人公の内面語り・葛藤の対照的な組み合わせが無力感・空虚さを倍加させていた.中盤,ジョン・ポールから「虐殺の文法」を明かされてから俄然面白くなった.