小柳粒男 『りべんじゃー小戦争 〜まち封鎖』 (講談社BOX)

りべんじゃー小戦争 ~まち封鎖 (講談社BOX)

りべんじゃー小戦争 ~まち封鎖 (講談社BOX)

魔女・篠木と戦士・張戸,そして填渡が異世界人を殺しまくって唐突に終わりを告げた戦から数年.魔女の姿はどこかに消えていた.異世界人たちは復讐を志し,三人の生まれ育った町にやってきた.小さな町で始まる,復讐者たちの小戦争.
『くうそうノンフィク日和』の後日談.前作がおっさん臭さと青臭さを同居させたような変な雰囲気を纏ったハードボイルドだったのに対して,こちらは真っ当な(?)殺し合いの話.ぼやかし気味にされていた異世界の様子もはっきりと描かれ,意図的な方向転換を目指している印象を受けた.前作を下地に敷いてはいるものの,ストーリーらしいストーリーはこれといって無い.町が二派に分かれて殺し合う,憎らしいから復讐するという,それだけの話.ではあるものの,フィクションの中でそれをやられると妙に理不尽で理屈抜きなモノに見えるから不思議.銃と剣と死体はそれこそ大量に出てくるとはいえ殺しの描写に力を入れるでなく,B 級スプラッタを志向している訳でもなく,前作とはまた違った意味で変な話であることは間違いないと思う.