里見しば 『送電塔のミメイ』 (TRUE REMEMBRANCE)

送電塔のミメイ

眠る前、見上げた天井に
節の穴を見た。
その模様は、瞼の裏に残って
いつまでも消えはしない。
まるで、愛しいひとの
面影のようだった。

送電塔のミメイ

現在とは違ういつかの時代.「廃墟離島」に数多く徘徊する「コゴリ鬼」を退治するために島を訪れた少女ミメイは,自らをコゴリ鬼だと名乗る夜刀に出会う.少しの住人たちと送電塔以外に何もないような離れ小島で意気投合した二人は協力してコゴリ鬼を倒してまわる.
こちらの動画で興味を持ったのでダウンロードしてみました.微妙に日常からずれた島で送られる静かな日常のもと,想うことと未知の一歩を踏み出すことがひとの在り方に与える影響について.強い想いから生まれ,決して良い結末をもたらさないコゴリの存在は読み進めるうちに「不気味な化け物」から「魂を持ったなにか」へと変化していく.二人の行く末はだんだんと読めてくるものの,ひとつの捻りを加えてただ綺麗なだけの話にしていないのも良かったと思う.でも読了後にオープンされる設定資料集は蛇足だよなあ,と前作を読まぬ身で言ってみる.
てことで良かったです.フリーで落とせるので気軽に読んでみるがよいですよ.