星家なこ 『フレンズ×ナイフ2 死神を包む風』 (MF文庫J)

「ほんと馬鹿よね。女なんて、プレゼントでも贈ってあげればすぐに笑うのに」
「柊さんも、そうなんですか?」
「あたしはもっと単純よ。そばにいてくれるだけで、満足だから」

フレンズ×(ウィズ)ナイフ〈2〉死神を包む風 (MF文庫J) - はてなキーワード

殺し屋業を営みながら学校に通う,他人に興味の薄い橘あかりと,表向き爛漫でぺったんでその裏に大きな力と闇を秘めた木嶋亜子の学園異能と友情と恋のさや当て?
教室・マンションの部屋・メイド喫茶・夜の公園.狭い舞台は各パラグラフにおいて固定され,最低限の人数による会話中心で物語は組み立てられる.「固定された舞台」が小劇場で演じられるような独特のストーリーテリングを演出しているのかも,と今ごろ気づいたがどうか.
話はライトでスピーディ,ポンポンとテンポ良く継がれる台詞のやりとりは楽しい.そんな軽いやりとりの合間にふっと「黒さ」が挟まれる.ほんとに当然のように,ちょっとしたこととして描かれる「黒さ」がその独自の雰囲気にプラス,スパイスのように話に人間くささと彩りを加えていた.面白かったです.