一柳凪 『リバース・ブラッド 4』 (ガガガ文庫)

リバース・ブラッド 4 (ガガガ文庫)

リバース・ブラッド 4 (ガガガ文庫)

母の形見の懐中時計を修理するために小さな時計店を訪れた巽は,カウンターで時計を弄るちまっとした少女守時ミサゴ──自称 "探偵"──と出会う.ミサゴ曰く,彼女の父と巽の両親が殺された 6 年前の事件は巽の母の描いた絵本を元にした見立て殺人であるという.
いくら異能ものとはいえ,ちまい探偵の推理ごっこがラストに至って「そして、新たな宇宙がうまれる──」(カバー裏より)なんて思いも寄らなかったよ.とにかくハッタリの効かせ方が半端なく上手い.序盤ののんきな日々に紛れ込む砂を噛むような違和感が後半への伏線,ってかクッションとして機能してた気がする.様式美的な見立て殺人と衒学的な固有名詞の数々をぐいっと結びつける作者さんはほんまもんのエンターティナーやで.冷静になって考えるとわりと支離滅裂な話だと思うんだけど,ここまでアクロバティックに繋げてくれるとむしろ気持ちいい.という書き方だとアレだけど変な意味ではなく.めっちゃ面白かったです.