竹宮ゆゆこ 『とらドラ・スピンオフ2! 虎、肥ゆる秋』 (電撃文庫)

とらドラ・スピンオフ2! 虎、肥ゆる秋 (電撃文庫)

とらドラ・スピンオフ2! 虎、肥ゆる秋 (電撃文庫)

「なんてことを言うのよ……。……んー、でも、まあねー。意外とねー、三十なんて、たいして大人でもないのよねー実際。先生にもわかりません」

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サイドエピソード集第二弾.内訳は大河と竜児中心の短編三本と,アホの春田,若き日の独身(30)それぞれ一本.
いやー,どれも面白かった.変なスイッチが入ってしまったのかやけに大河が可愛くてよう.日常のエピソードを描いた「虎、肥ゆる秋」「THE END OF なつやすみ」「秋がきたから畑に行こう!」の三本はどれもこれといってコメントするようなこともない他愛ない話なんだけど妙にニヨけてしまうという.本編が愁嘆場を迎えているこのタイミングで読ませられるとまた思い入れもいっそう進むというもの.
残る二編の「春になったら群馬に行こう!」「先生のお気に入り」は「オトナ目線」での人生とか青春とか恋愛とかなにがしかの話.独身(30)の言葉や生活にいちいち共感を覚えてしまうのもまた変なスイッチだよなー.それなりの苦労を経験しながらも若者を見守る余裕とそこそこの呑気さを持ったまま人生を送っている独身(30)に共感を覚えてしまう=同世代の自分の人生も捨てたもんじゃないかも,的な癒しというか救いというか.