川崎康宏 『Alice』 （電撃文庫）

Alice (電撃文庫)

「心頭滅却すれば火もまた涼し。暑いと思うから暑いんだ」
「じいちゃんがよく言ってたな。意味は『貧乏』だ」

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純天然なのに日本かぶれで日本語をしゃべるグリズリー，これまたしゃべるおっさんねこドロイド，脳が砕けても蘇る遺伝子改造海兵．ガジェット満載のパンクでクールなライト SF．暴れん坊どもが好き勝手やるだけのお話は「シナリオ」らしきものはほぼ無いものの，矢継ぎ早のテキストとポップなアイテムに押されるようにすいすい読み進められる．これは楽しい．深見真にどこか通じるものがあると思うのだけど，深見真より悪ガキ的な雰囲気が強い小説だと思うのですよ．いたずらっ子のごちゃごちゃした落書きを整頓して形にしたような，オトコノコ的なかっこつけのもう一歩前の感性で描いたような，そんな小説．良かったです．