『ぼくらがここにいるふしぎ。』 (rouge)

ぼくらがここにいるふしぎ。 限定版

ぼくらがここにいるふしぎ。 限定版

蜃気楼が名物の海沿いの町.五年前,新一,珠子,未生の仲良し三人組は数年に一度しか見られない特別な蜃気楼を見に海岸へ行った.その一週間後,未生は不慮の事故で死んでしまう.
荒川工がメインシナリオを手がけたノベルゲームもといエロゲ.二つのあり得た世界の可能性を,蜃気楼のこちら側と向こう側という形に託して描いている*1.ただし「蜃気楼」と「現実」の間には明確な区別はない.理屈はなにもつけず,二人の幼なじみのいる別々の世界があるという,ただそれだけを描いた話.体のいい投げっぱなしもしくは雰囲気だけの話と言えなくもないけど,ぼやかしたまま最後まで持っていってるのは上手かった.下手な理屈をつけてたら一瞬でパーになる類の話だと思うので,この形はおそらくベストだったと思う.テキストは『にこは神様に○○される?』同様にいい意味で軽いので,気が向いたら手に取ってみるといい.

*1:好意的な解釈だと思う