深見真 『バトル・オブ・銃器城 探偵王女フジコ2』 (富士見ミステリー文庫)

「悪党ぶちのめすのは爽快よ。それは認める。正義の味方を気取るのは本当に最高──でも、私はそういったものを超越したい」
「…………」
「世の中には、正義や常識が溢れている。私が欲しいのは、そこから一歩踏み込んだ先」
「そこはきっと、世界の果てみたいな場所だろう……。どんな騎士も勇者も味わったことがない、孤独な戦場だ」
「でしょうね……」

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東欧の小国ティルナパンにその名を知られる武闘派美少女探偵,フジコ・クリスティ.その正体は,ティルナパンの王女クラウディアだった.ある日,街中で男たちに襲われそうになっていた女の子,ジルを助けたフジコは,「銃器城」に住まう彼女の護衛を依頼される.
「ペイガン・ゴッドの白狼」に続く探偵王女シリーズ第二弾(そして最終巻……).「銃器城」とそこに住むグランディッシュ一族に隠された秘密とは.その名の通り銃器に埋め尽くされた城を舞台に,事件を追う探偵王女フジコ.ライバルとして登場するは,銃器探偵ことカリーナ・バルタザル.
一巻に続いて今回も良かったわー.尺の関係なのか,タイトルと舞台のわりに銃器の描写はさほど多くない印象なのだけど,その代わりエンターテイメント分はムチャクチャ濃い.特にグランディッシュ家の秘密は,最小限の説明で,最大限の効果を発揮させるという,お約束の冴えた使い方だと思った.オトコノコ的なカッコよさがある.正義のため,めげず挫けず前に進むフジコとジェシカのコンビも非常に前のめりで気持ちいい.エンターテイメントかくあれかし.たいへん楽しゅうございました.