グレッグ・イーガン/山岸真訳 『宇宙消失』 (創元SF文庫)

宇宙消失 (創元SF文庫)

宇宙消失 (創元SF文庫)

「そう。たぶん、徹底した大虐殺をね。生物──知的生物──であることは、かならずしも波動関数を収縮させることを意味しないわ。もし、波動関数を収縮させない生物が人類より先に存在したなら、人類はその生物を収縮させたことになる。そのとき、文明をまるごと抹消したかもしれない」
「そして、おれたちはいまもそれをしていると? 何光年もかなたの物質を収縮させている? ほかの星々を? ほかの銀河を? ほかの生命形態を? “ありうる選択肢を減らしている”? ただ観測するだけで、宇宙をずたずたに切り裂いているって?」

宇宙消失 (創元SF文庫) | グレッグ イーガン, Greg Egan, 山岸 真 |本 | 通販 | Amazon

2034 年,地球の空から星が消えた.後に〈バブル〉と呼ばれることになる超巨大構造体に,太陽系全体がすっぽりと覆われたのである.それから 33 年後.〈バブル・デイ〉当時 8 歳だった元警官のニックは病院から失踪した入院患者ローラの捜索を依頼される.
地道な探偵仕事と太陽系を覆う〈バブル〉が,ナノテクノロジーと量子を介して繋がる物語の面白さはもちろんのこと.量子論的世界の描写が非常に分かりやすく,かつすごくセンチメンタルなことがとても意外で印象的でもあった.今さら読んだのかという感じですが面白かったです.