藍上ゆう 『創世の大工衆(デミウルゴス)』 (このライトノベルがすごい!文庫)

創世の大工衆(デミウルゴス) (このライトノベルがすごい! 文庫)

創世の大工衆(デミウルゴス) (このライトノベルがすごい! 文庫)

「わかりました。創世の大工衆にそんなことを尋ねたのが馬鹿げていたのでしょう。それでも、もう一度問わせてください」
シャロンはシアの瞳から逸らさないよう、しっかりと言った。
「──七日間で砦を完成させることはできますか?」
「可能よ。創世の大工衆に不可能はありえないから」

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少年カナト・イクティノスは,亜人の国クーラントで,唯一の人間かつ唯一の大工にして奴隷工として働いている.そこに現れたのは,創世の大工衆の末裔を名乗るひとりの少女.神の使いとも言われる創世の大工衆によって,百年前に完璧な都市として造り上げられたクーラントだが,少女シアは物理的な崩壊の危険があると言う.
「大工」に焦点を当てた「建築」ファンタジー.目の付け所は面白いと思うのだけど,ディテールがいまいち詰められていないのが気になった.この世界における「建築」技術の断絶がいまいち納得いかないとか,魔工具とそれを使う大工の技量の関係がよく分からないとか,創世の大工衆をいくらなんでも盲信しすぎじゃね,とか.説明は過剰なくらいしてくれるのだけど,腑に落ちないことが多くてどうも中身に集中できない.世界観を文庫一冊の分量にまとめることに無理があった,のかなあ?