ジョン・ブレイク/赤尾秀子訳 『地球最後の野良猫』 (創元SF文庫)

地球最後の野良猫 (創元SF文庫 ) (創元SF文庫 フ 10-1)

地球最後の野良猫 (創元SF文庫 ) (創元SF文庫 フ 10-1)

涙がおさまってからも、わたしたちはそのままでいた。するとフィーラが前足で、わたしの脚をちょん、ちょんとつついた。仲間はずれにしないでよ、といっているらしい。フィーラは感じとったのだろう──わたしたちはひとつの群れに、家族になった、わたしたちの居場所はおなじなのだと。

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そう遠くない未来.猫インフルエンザの蔓延により,世界から野良猫は消え,生き残ったわずかな猫は,いち私企業により厳密に管理されるようになっていた.ある日,ジェイド・ジョーンズは,庭で首輪のない猫を見つける.ジェイドと母親は,その人懐こい猫にフィーラと名前をつけ,密かに飼うことにするが,それをクラスメートのクリスに感づかれてしまう.
猫とひとが自由に暮らせる場所を求め,少女と少年と猫はアイルランドを目指す.読書感想文の課題図書にあってもおかしくないような,比較的ありふれたタイプのヤングアダルト小説だと思う.話自体に目新しさがないのはともかく,話の進み方がいちいち都合良すぎるのはすごく気になるところ.重要な節目節目の転換点を,外的要因(というか運と妄想)ばかりで乗り切っているように見えた.