法条遥 『バイロケーション スプリット』 (角川ホラー文庫)

私はバイロケーションと言うらしい。
人間ではないらしい。
何処からどう見ても人間で、実際、包丁を扱っていて間違った時には、皮膚が裂け、血が出るのだが、それでも人間ではないらしい。

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料理人と殺し屋,ふたつの顔を持つ東雲佐和.子供のころから現れるようになっていたバイロケーションと協力しながら「仕事」をこなす佐和だったが,やがてバイロケーションとの間に意見の相違が現れ始める.
バイロケーションが分裂(スプリット)する.日本ホラー小説大賞受賞作『バイロケーション』(感想)の続篇.ゾッとするような,冠どおりのホラーだった前作とは趣がだいぶ異なると思う.このテーマでありながら,「バイロケーション」の存在が揺らいでいるのは気になるどころの話ではない.あとバイロケーションとはなんなのかに言及するのは野暮ではないかな.……まあどうせ嘘なんだろうからいいのか.リーダビリティは高く,サクサク読めるし,読んでる最中は楽しかったのだけど,これはいかがなものかという気持ちも半分くらい.