法条遥 『地獄の門』 (角川ホラー文庫)

地獄の門 (角川ホラー文庫)

地獄の門 (角川ホラー文庫)

(……地獄?)
そうだ……、ここは、
ほんの少しだけ開いた門の隙間から、邪悪なる者が顔を見せて、にっこりと笑ってこう言った。
「人間の皆さん、地獄へようこそ〜」
天使と見紛う程の、愛らしい笑顔で。
(……夢だ)
だって、頬をつねっても痛くないのだから。

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何者かに殺され,地獄へと落ちた佐藤良太.復讐心に身を焼く良太は,悪魔を欺き記憶を持ったまま転生することを目論む.一方,恋人である良太を殺された刑事の三浦愛は,犯人への憎悪をたぎらせる.
良太の地獄篇と愛の現世篇を交互に描く復讐劇の結実.やあ,楽しかった.緻密に編み込まれては解かれてゆくふたりの復讐と,それをぜんぶうやむやにしてひっくり返すような身も蓋もないクライマックスに震える.ほんと,この作者は一貫してひどいものしか書かないな! 嫌いなひとと好きなひとがはっきり割れるタイプの作家だよね.今月出る新刊も楽しみなことです.