伊崎喬助 『スチームヘヴン・フリークス』 (ガガガ文庫)

スチームヘヴン・フリークス (ガガガ文庫)

スチームヘヴン・フリークス (ガガガ文庫)

「いいねえ、西部劇は大好きだ。子供が不思議な力で大人をぶちのめしたりしないからな」
「差別的発言です。ポストダーウィニスト系のマスコミに聞かれたら叩かれますよ」

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1961年,ペンシルベニア州ビザーバーグ.かつて世界を恐怖に陥れた秘密結社《ディスコルディア》の遺産が残されているという“蒸気天国”(スチームヘヴン)に,英国から行方不明の少女を探してある男が訪れる.
第8回小学館ライトノベル大賞《優秀賞》受賞作.遺産をめぐり,何でも屋のスチームシーカー,マフィア,正義のヒーローチーム,警察,マッドサイエンティスト,四人の怪人(ジャック)などなどが“蒸気天国”(スチームヘヴン)を大暴れ.蒸気ガジェットとストーリーを詰め込んだごちゃっとした高密度と,めまぐるしいハイスピードな視点変更が楽しい.成田良悟とミエヴィルを足して割ったような,と言うと感覚がわかるかな.スチームパンクであり都市SFでありバディものでもありヒーローチームものでもあり.ライトノベルに求められるエンターテイメントのすべて……とは言わないけど,かなりのものが詰め込まれていると思う.ミエヴィルは分厚くて手を出すのがめんどい,という(自分のような)ボンクラにおすすめしたい.ちょう楽しかったです.