小川淳次郎 『稲妻姫の怪獣王2』 (講談社ラノベ文庫)

稲妻姫の怪獣王 2 (講談社ラノベ文庫)

稲妻姫の怪獣王 2 (講談社ラノベ文庫)

「一言、くれ」
アーニャは神楽の頭を抱きしめた。
「……神楽。お願い」
稲妻が神楽の肌を刺激する。
神楽の筋肉が膨張する。皮膚が伸び、骨も伸長し、太くなる。
肌の色が変わる。服が、ずるりと落ちていく。
「神楽、私の街を、守って」

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帝国からの依頼により,岸壁都市ソブラニアのサロート家を調査することになったアーニャと神楽.そこには,モルニアを再び侵攻しようと企てる大鷲隊と二体の怪獣,そしてカメラカグラとの再戦を望むアポロが待ち構えていた.
異世界怪獣ラノベ最終巻(一巻感想).人間離れした才能を持ちながらもすべてを失い,自分の無力を悔いる男が怪獣になり,そんな男に憧れ続けて怪獣になった男がもうひとり.題材が題材だけにずるいわーと思いながら素直に心震わされる.怪獣という概念が持つロマンだったり,憧れだったりを非常にストレートに,熱く描いていると思う.独特のテンポで書かれる妙に力の抜けた会話との対比もメリハリがあって楽しい.ストーリーは少し尻切れとんぼのところがあるし,神楽が「なにもかも失っ」た理由は,ひとによってはかなりの嫌悪感を示す気がして誰にでもすすめられるかと言うと難しいのだけど.あとがきで書いているように,「怪獣ラノベ」がブームになるといいなあ.