竹内雄紀 『日本レンタルパパの会』 (祥伝社)

日本レンタルパパの会

日本レンタルパパの会

「でもツカちゃん、相変わらずエッチやなあ」
「相変わらずってなんや。エッチなことなんか、一度もしたことないやん」
「そうやなあ。一度もしてくれへんかったなあ」
ドキッとすることを平気で言う。それも二十三年前と変わらない。

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日本レンタルパパの会とは,シングルマザーや単身赴任などで父親が不在の家庭に,父親をレンタルするボランティア団体である.設立者は三人のダメ男たち.ダメ男たちは,それぞれの目標を抱えながら自らレンタルパパとしてボランティア活動に勤しむのだった.
それぞれにダメなところを持つパパたちの人情話にして大人の青春物語.『悠木まどかは神かもしれない』(感想),『オセロ●○』(感想)と同様,ユーモラスなエリートとかこましゃくれたガキを絡めてしんみりした小説を書かせたら右に出る者はそうそういない,と思う.ただ,前二作と比べると,物語が素直すぎてかなり物足りないのよな.いい話なのは間違いないんだけど,キャラクターを使った盛り上げも,ちょっと尺が足りていない印象がある.家族持ちが読むとまた印象が違うのかもしれないな,とは思った.