円居挽 『シャーロック・ノート 学園裁判と密室の謎』 (新潮文庫nex)

「我らの祖たるシャーロックの名にかけて問う。汝は稀人なりや?」
決まりきった口上だ。試合開始の儀式のようなもので、相手の口上も決まっている。
「我らの祖たるシャーロックの名にかけて応じる。解は宴の半ばにて……」
成の返答を合図にして、星覧仕合が開始される。

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都内屈指の進学校にして,探偵養成学校である鷹司高校に進学した剣峰成.凡庸な同級生たちに早くも退屈していた成だったが,クラスメイトの少女,太刀杜からんと出会い,学園裁判に参加することになる.
帯曰く「青春×本格ミステリの新機軸」.数々の名探偵,学園裁判,密室と,まさに現代の新本格.それでいてあちこちに仕込まれたボンクラ臭とピリッとしたケレン味.底抜けにボンクラしている.国家により任命される探偵士,そのトップに君臨するのは現衛庁の九哭将(ナインテイラー)に日本探偵公社の十格官(デカロゴス).JDCかな? という.「ルヴォワール」シリーズとノリはほぼ一緒(良くも悪くも)だけど,こちらのほうが気楽に手に取れる小説になってる気がする.読み終わってみると何も残らない小説の気もするけど楽しかったですわ.