日日日 『狂乱家族日記 番外そのなな』 (ファミ通文庫)

狂乱家族日記 番外そのなな (ファミ通文庫)

狂乱家族日記 番外そのなな (ファミ通文庫)

「こんなふうに」
つぶらさんは視線を逸らす。
「愛していると、すなおに表現するほうが、きっとシンプルで美しいんでしょうけど。あえて歪めて、たくさんの色と飾りで覆い隠して、単純で崇高な真実を遠ざける。馬鹿みたいですよねぇ」

あなたを月につれていくから

Web媒体などで発表された,「狂乱家族日記」シリーズの短篇プラス書き下ろしの作品集.異形とかグロテスク寄りな雰囲気が強いかな.部屋の中で行方不明になっていて,読むのがだいぶ(5年ほど)遅くなったけど,さほど気にせず楽しめた.というか,日日日って短篇めっちゃうまくね? ぐらいの錯覚を覚える.まあもともと大好きなシリーズだし言葉遊びとか好きだしね.今回は話の舞台となる正夢町,さらにその中心となるオカマBAR「ビルゴ」の書き方が良かった.言葉を多く尽くしてるわけではないのだけど,さすがセンス・オブ・ジェンダー賞作家,みたいな貫禄を感じた.