尾地雫 『撃戦魔法士』 (ガガガ文庫)

撃戦魔法士 (ガガガ文庫)

撃戦魔法士 (ガガガ文庫)

煌めく七色の伽藍。華美な装飾を施した七飯の垣根。道々には宝樹が植えられ、頭を丸めて袈裟を着た坊主魔術師(ブッディストウィザード)たちが、朗々と「南無阿弥陀仏」を唱えながら練り歩いている。
地下極楽(ニルバーナ)〉と呼ばれているここは、極楽宗系の仏教魔術寺院が立ち並ぶ地下街だった。

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大日本大陸の中部東海地方に位置する世界最大の魔導都市,〈フルホシュタット〉で民間騎士(コントラクター)を営む少年,早乙女龍之介は飢えていた.なんとかダークエルフの姫君を護衛する仕事にありついた龍之介だったが,その仕事の裏には国家や民族を巻き込む謀略が渦巻いていた.
第9回小学館ライトノベル大賞ガガガ大賞受賞作.最近流行りの和風スチームパンク,のような導入だけど,舞台や固有名詞の一部だけで実際はだいぶファンタジー寄り.ガジェットやアクションシーンは良いものの,ストーリーは正直あまりストーリーの体をなしていない.黒幕がとつぜん現れて,自分の目的をべらべらしゃべり出したときの脱力感が半端ではない.上の引用部とか,〈人工生命の遊郭(クルワ・オブ・ホムンクルス)〉とか,民間魔術師 vs. ニンジャ・グリフォン・ハルピュイア軍団とか,面白く調理できそうな素材をいっぱい用意しているのに,どうしてこうなってしまったのか.