夏緑 『ぼいレコ!』 (HJ文庫)

ぼいレコ! (HJ文庫)

ぼいレコ! (HJ文庫)

男子と女子の違いは、髪の長さとズボンかスカートぐらい、のように何となく思っていた俺は、びっくりした。目からうろこが落ちたというか、棟方の小ささと細さと柔らかさは、ショッキングだった。
女の子っていうのは、こんなに頼りないものなのかと思った。ワンピースの胸もとからのぞく鎖骨なんて、割り箸みたいに細い。少しふれただけで折れそうで、俺は怖くなった。

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夏目三四郎は小説書きが趣味の高校生.「第二放送部」のDJである星園うらんに,放送作家としての才能を見出された三四郎は第二放送部に入部することになる.第二放送部は部の存続を賭けて,第一放送部と日々聴取率を競っていた.
放送部員と構成作家のボーイ・ミーツ・ガール.作者の経験が活かされたのであろう地に足ついた展開に対して,序盤の悪い意味での軽さとか,雨降って地固まる過程のご都合主義が激しいところとか,作者の良いところと悪いところが両方出ている一作になっていると思う.ちょっとどうかと思うところも多々あれど,最終的には良い方向に働いていた,気がしないでもない.通して読んでみると悪くない青春ものなのではないかな.