鈴木大輔 『文句の付けようがないラブコメ 5』 (ダッシュエックス文庫)

『すごいな』
旅の途中、神は折に触れてつぶやいた。
『この世界はすごい』
そうとしか言いようがないのだ、ということをユウキは理解していた。他ならぬ彼自身が同じ景色、同じ風景を見つづけてきたのだ。
まったくもって世界はすごかった。
これこそ神鳴沢セカイが、自らのすべてと引き替えに守ってきたもの。むしろすごくないわけがないのだ。もしすごくなかったら、この世には本当の意味で救いがなくなってしまうだろう。

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再び作り替えられた世界.神として,身を削って世界を保つ神鳴沢セカイの身に限界が近づきつつあった.世界を守る役目と,愛するセカイの狭間にいるユウキは,事情を知る人々とともにセカイを「新婚旅行」に連れ出す.
ループする世界の「ラブコメ」第五巻.本当の終わりが迫ってきた世界で,神は守ってきた世界の本当の姿を知る.素直に読めば,ほぼ同じボーイ・ミーツ・ガールの繰り返し(プラスアルファ)が5回.九十九機関やメインキャラクターたちの周辺といった,今まで描写を避けてきた部分にちょっとだけ踏み出した,のかな.今までストーリーが進まなすぎたせいか,今回はものすごく進展があったように見える.決着が気になるしここまで来たら最後までお付き合いするわ.