オキシタケヒコ 『筺底のエルピス3 ―狩人のサーカス―』 (ガガガ文庫)

戦うことが、文化そのものに織り込まれている土地。
数百年の長きにわたって、武士と呼ばれる軍事階級民が治めていた、島嶼国家。
ここはかつて――刀を握るサムライたちの国でもあったのだ。
そして前大戦においてこの島国が、サムライ(ガイスト)とかいう古風な倫理観のもとに、どんな捨て身の戦術を採用したのかも、ヒルデは思い出してしまったのだった。
「まさか……世界を巻き込んでの、カミカゼだとか言わないでよね……」

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《I》(ジ・アイ)の侵攻によって陥落した《門部》の残党は逃亡を続けていた.追いつめられながらも,《I》(ジ・アイ)の追跡者に負けないための作戦を展開しようとする圭たち.さらに,殺戮因果連鎖憑依体を狩るもうひとつの組織,《ゲオルギウス会》が動き出しつつあった.
「鬼」こと殺戮因果連鎖憑依体を狩ることを目的とする,三つの組織が相まみえる.そして人類は二年と九十六日後に滅亡する.いやすごい.希望のあるビジョンがまったく見えない.停時フィールドを駆使した容赦のない戦いが繰り返されるも,リーダビリティが非常に高くて,絶望を存分に見せつけられる.で,読み終わってみると実は「廃棄未来」の前編だったという.このまま滅ぶのか,何らかの逆転があるのか.6月に出るという後篇を楽しみにしています.