手代木正太郎 『魔法医師(メディサン・ドゥ・マージ)の診療記録 3』 (ガガガ文庫)

魔法医師の診療記録 3 (ガガガ文庫)

魔法医師の診療記録 3 (ガガガ文庫)

ドゥンは魔術(マジー)を用いねば干渉できない。だが、魔術(マジー)を用いれば患者の命に関わる。
ヴィクターは、昨日のヘルメスの言葉を思い出していた。
ナイトメア症候群は、魔法医師(メディサン・ドゥ・マージ)には治療できぬ病かもしれませんね……。
その言葉の意味をまざまざと思い知ったのだった。

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魔法医学の権威,ガレノスの住まう〈悪夢館〉.そこに5人の腕利きの魔法医師(メディサン・ドゥ・マージ)が集められた.病床に伏すガレノスの病を治した者には,そのすべての遺産を託すという.時間のないなかで競い合う魔法医師たち.そこに,ひとつの疑念が浮かび上がる.
実体化した悪夢が漂う「館」に集められた名医たち.館に住まうサッキュバスと,邪眼を持つ少年.遺産をめぐる罠…….満点の導入部から,館ものになるのかと思ったら,2時間サスペンス・ミーツ・山田風太郎な異世界ファンタジーだったという.まあ山風は予想してたけど,いやほんと,安定してすげえ楽しい.芳香療法(アロマテラピー)生体磁気療法(バイオマグネティズム)はまだしも,「魔法内視鏡カテーテル医」という単語のインパクトがすごい.カテーテルにそんな使い方があるなんて! テンポの良い語りで同時進行する謎に,コミカルだったりグロテスクだったり,異様なくらいネタがつめ込まれているのも変わらず.サッキュバスの正体はなかなか強烈だったよね…….
生気であるルンと病原体であるドゥンの関係という,シリーズの根幹になるであろう部分にも触れている.次あたりで話が大きく動くのかな.安心して楽しめるシリーズなので皆も読むといい.続きをお待ちしております.