東亮太 『異世界妖怪サモナー 〜ぜんぶ妖怪のせい〜』 (スニーカー文庫)

ビキニアーマーっ! ビキニアーマーっ!」
興奮のあまり、俺はそのステキな名詞を叫び続けた。だってそうだろ。ビキニアーマーと言えば、紛れもなくすべての異世界ファンの夢と憧れと煩悩の象徴。つーか、これで決まりだ! ここは異世界以外の何物でもない!
「よっしゃ、ついに俺は異世界に来たんだ! すげーよ、本物の異世界だ! 本物のビキニアーマーだっ! いやっふぅっ! ……で、あんた誰?」
ビキニアーマーのついでに訊かないでっ!」

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異世界が大好きなラノベオタクの高校生,神野琥珀は,ある日本当に異世界に転生してしまう.しかも予言の召喚師(モナー)の能力つき.ビキニアーマーを着た冒険者志望の女騎士との出会い,そしていきなりモンスターに襲われるふたり.さっそく能力を発揮するコハクだったが,彼が召喚できるのは元いた世界である日本の妖怪だけであった.
京極夏彦も大推進」らしい異世界妖怪ファンタジー.最近の異世界転生もののお約束を忠実になぞりつつ,妖怪というエッセンスをうまく使って,絶妙に外してくれる.どこがすごい,というわけではないけど,軽妙なコメディとしてよくまとまっていると思う.主人公の名前がある伏線になっているのはちょっと良かったかな.知ってるとニヤッとできると思う.しかし前作でもちょっと思ったけど,つくづく器用貧乏な作家だよなあ.お気軽な気持ちでどうぞ.