森田季節 『不戦無敵の影殺師(ヴァージン・ナイフ)7』 (ガガガ文庫)

「私、マスターの赤ちゃんが、ほしいです」
「うん、俺じゃなくてお前に似てくれたらいいな。けど、じゃあ、マスターって呼ぶのは終わりだ。子供がぎょっとするだろ」
「まだ、マスターはマスターですから」
「それじゃ、小手毬が人間になった時に終わりにしようか。煌霊の役目を卒業した時に」

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変わっていくのは俺と小手毬だけじゃない。誰もが昨日や去年とは違うものになっていく。時間というものの上に乗っている以上、俺たちができるのは変わらないことじゃなくて、いいほうに変わることだけだ。

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煌霊である小手毬が「人間になる権利」を手に入れた.これで人間として共に歩むことができると喜んだふたりだったが,そのためには神にも近しい力を持つ『天上』のトップを殺すことが条件だという.
最強を目指したり,テレビで人気者になることを目指したり.紆余曲折してきたふたりの異能者の行く末を描いてきたシリーズ最終巻.お約束のようなラスボス戦からの大団円,とは言えシリーズの今までと同様,一筋縄ではいかない.強くなければ幸せはつかめなかったはずだけど,真の最強がイコール幸せではないのだよね.いろいろあって,幸せそのものの日常は続いていく.良いエピローグでした.