天宮伊佐 『ハナシマさん』 (ガガガ文庫)

ハナシマさん (ガガガ文庫)

ハナシマさん (ガガガ文庫)

「つまり……犯人が被害者の手足を切り刻む動機が『主義』だった場合、その思惑は誰にも、下手をしたら本人にもわからないってことですか?」

Amazon CAPTCHA

北関東某県の韻雅町で,若い女性ばかりを狙った連続バラバラ殺人事件が発生した.時を同じくして,町の高校に華志摩玲子という少女が転校してくる.作り物めいた美しさを持ち,誰とも交流を持とうとしない彼女が唯一興味を示したのは,事件に関する都市伝説だった.それは,犯人が十数年前の殺人事件の被害者の怨霊であるといううわさ話.
「幽霊といのはね、死ななかったモノなのですよ」.第10回小学館ライトノベル大賞ガガガ賞受賞作.群像劇風に語られる,ベタだけど硬派な都市怪談.ヒロイン(?)が「ハナシマレイコ」という時点で,わかるひとにはある程度元ネタがわかるかな.猟奇連続殺人,都市伝説,フェティシズムというパーツを組み合わせて,手堅くまとめていると思う.ホラー小説だけど,悲しみが恐怖より強く残るのが良い,というか好みでした.