ミタヒツヒト 『イマジナリ・フレンド』 (ハヤカワ文庫JA)

イマジナリ・フレンド (ハヤカワ文庫JA)

イマジナリ・フレンド (ハヤカワ文庫JA)

「……何にも感じない。あたしには、やまじのファーストキスは奪ってあげられないんだよ。ごめんね」
そう、彼女はイマジナリフレンド。寄り添って人生を過ごす伴侶にはなりえない。おれはいつか、残酷にも彼女を切り捨てて、彼女がいたことも忘れて、罪悪感すら感じることなく生きていくことになる。それは既定路線なのだ。

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イマジナリフレンドとは,孤独な人間にだけ見ることのできる空想の友だちのこと.コミュニケーションが苦手な大学生の山持は,子供の頃からイマジナリフレンドのノンノンと日々を送っていた.山持の将来を心配したノンノンは,イマジナリフレンドを持つ似たような人々の集まりである「空想ともだちカンパニー」へ彼を誘う.
創作ユニット「超水道」代表による小説デビュー作,でいいのかな.友達との別れに伴う成長,あるいは成長より大切な自分だけの本当のともだち,みたいな.全体を通して語られるテーマは好きなんだけど,リアリティレベルがどこにあるのかわからず,落ち着いた気持ちで読めなかったのが残念.イマジナリフレンドと現実との整合性がかなりふわふわしているのをはじめ,ちょいちょいと気になるところが多いかなあ.フォローではないのだけど,たぶん好きなひとはとことん好きになるタイプの作家だろうな,と思いました.