岡本タクヤ 『異世界修学旅行 3』 (ガガガ文庫)

異世界修学旅行 3 (ガガガ文庫)

異世界修学旅行 3 (ガガガ文庫)

「みんな大したものだな。だが、俺のようにゲームをする以外は食って寝る以外、取り柄のない豚は何の役にも立つまい」
横になり、佐々木の持ってきたカステラを齧りながら丸山が自嘲的に言う。
「そんなことはありませんよ。古代より神事には家畜の生贄がつきものです」
「坂上さん、クラスメートを家畜呼ばわりするのと生贄に捧げようとするのはやめようか」
「ご、ごめんなさい、つい……。ぶ、豚って意外ときれい好きな動物なんですよね!」
「その豚豆知識はなんのフォローにもなってないからね。むしろそれを言うことで豚呼ばわりを補強しているからね」

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異世界の王女プリシラと修学旅行を続けつつ,仲間たちを探す一行は,いまだ行方のわからないクラスメートを探すため,預言の巫女を祀る神託都市へと赴く.だが,都市は当代の巫女の引退に沸き,次の巫女を決める総選挙運動が始まろうとしていた.
平和な異世界に差しつつある邪教の影の正体とは.シリーズ三巻.異世界のお約束に,肩がこらない程度のネタと理屈をつけて,読みやすいコメディに仕立てている.変なひねりを入れずさらりと書いているのがうまいよなあ.異世界における国教の考え方とか,巫女の「神託」とはなんぞやとか,高度に発達した手品は魔法と区別がつかないとか.特に感心したのが,魔法が発達した異世界に召喚された鉄オタにそんな使い道があるのか! という.これにはマジで蒙を啓かれた.異世界なのにとんこつラーメンとか,巫女を決めるのがどこかのアイドルのような総選挙だったりとかのネタも,まあ好き嫌いはあるだろうけど変な嫌みがない.楽しゅうございました.