川岸殴魚 『勇者と勇者と勇者と勇者 3』 (ガガガ文庫)

「おい、馬鹿の賢者っておかしくないか?」
ルディはナディーネにささやく。
「……でも、レベルの低い賢者なら、もしかしたら」
「レベル低くても、普通を下回っちゃダメだろ。賢い者だぞ。あいつは賢くない者だ」
「でも、眼鏡してるし」
「眼鏡してるヤツが賢者ならヴォルフも賢者だろ。眼鏡イコール賢いじゃねえ。あいつは眼鏡をかけた馬鹿の子だ」

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ナディーネが,自称賢者のくせにどう見ても馬鹿っぽい賢者・ソニアを拾ってきた.かつての大勇者ブレイズの仲間だったというソニアのコネを手に入れるため,ルディはソニアの研究を手伝うことにする.
勇者たちがシェアハウスしているコーポ勇者に賢者登場の巻.平和な大勇者“あまり”時代に影が迫りつつある……のかな.馬鹿な賢者ソニアとゴーレムのゴレ太郎に,どことなく力の抜けた大長編ドラえもんのような雰囲気を感じた.引き締めるべきところはちゃんと引き締めてくれるし,くどいギャグと細かなネタが,あとからちゃんと伏線になってるのは相変わらずとてもうまい.アホの子を描くのがうまいというか,それでストーリーまで輝くのは不思議.ぜひ,今後もアホの女の子をバンバン出していただきたいと思います.