持崎湯葉 『モノノケグラデーション』 (ダッシュエックス文庫)

「あれ?」と小百合は不思議そうな顔だ。これ程不器用で単純でアホ可愛い奴、初めて見た。なんというかこいつには、悩みとか愚痴とか、全部吐き出したくなってしまう。

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ある日の深夜.十河春一は河原で栗毛の少女と黒髪の少女が戦う場面に出くわす.長い黒髪の少女,小百合は妖怪を監視する組織のエージェントだという.春一は成り行きから小百合の手助けをすることになる.
第13回スーパーダッシュ小説新人賞優秀賞受賞作.限られた舞台と人数での,テンポよい会話がメインで話が進んでいく.妖怪やモノノケというテーマは薄めで,率直に言うと西尾維新っぽい.と言っても,スタイルのわりに奇を衒ったところはかなり少ない.コミカルなキャラクターは最初のうちは鼻につくけど,ノリがわかってくればそんなに悪くはないはず.ザ・キャラクター小説というか.アホで素直でダッフルコートの下は下着な小百合がだんだんかわいくなってくる.強くおすすめはしないけど悪くなかったと思います.