森川智喜 『トランプソルジャーズ 名探偵三途川理 vs アンフェア女王』 (講談社タイガ)

イカサマでもいい。トリックでもいい。
こんなアンフェアなゲームに勝てる方法なんてあるのか?

Amazon.co.jp: トランプソルジャーズ 名探偵三途川理 vs アンフェア女王 (講談社タイガ): 森川 智喜, 平沢 下戸: 本

いまはむかし.小さな名探偵,三途川理が不思議な穴を通り抜けて辿り着いた先は,生きものたちがしゃべる不思議な世界でした.善良な時計屋ウサギのピンクニーは,店に迷い込んできた三途川理に巻き込まれ,不思議な国を支配する横暴な女王とのアンフェアな決闘に巻き込まれてしまう.
しゃべる54枚のトランプを使ったアンフェア極まりない神経衰弱,ババ抜き,ポーカーをいかにして勝ち抜くか.不思議の国を巻き込んだクズ vs クズな姉弟喧嘩のはじまりはじまり.負けたら(ほぼ)死,ということもあってか,今までになく福本伸行調が濃く(ひょっとしたら別の元ネタがあるのかもしれないが)緊張感も強い.しゃべって相手に協力するトランプを使う相手に,いかにして勝つか,というところから生まれる知恵比べがほんと楽しい.コロンブスの卵的な発想の転換あり,ルールの隙をつくのもあり,アンフェアにはアンフェアでの精神でイカサマやトリック,ゲーム外での暴力なんかも当然あり.こういう性格の悪い話を書いてこそ,この作者だよなあ.堪能いたしました.