烏川さいか 『くずクマさんとハチミツJK』 (MF文庫J)

くずクマさんとハチミツJK (MF文庫J)

くずクマさんとハチミツJK (MF文庫J)

俺が小学校に入ってすぐの頃。ダイニングで朝飯を食べている時、唐突にそのことを母の口から告げられた。あたかも今晩のおかずを言うように、さらっとだ。
「久真、あなたのお父さんはクマなのよ」

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阿部久真はクマの妖怪と人間のハーフである.ハチミツが大好物で,ハチミツを食べるとクマの姿になってしまう.自分の体質を隠して生きてきた久真だったが,高校の入学式で出会った天海桜にバレてしまう.
第12回MF文庫Jライトノベル新人賞優秀賞受賞.クマ少年と体からハチミツを出す少女が出会う.ここまで毒にも薬にもならないラブコメを読んだのは久しぶりの気がするぞ.思いつきのアイデアを形にするために,細かい理屈をすべて投げ打っているというか,本当に書きたいことだけ描いているというか,とても潔い.細かいことを気にするひとには向かないと思うけど,下手に理屈をこねないのが良かったのか,読んでて悪い気はしなかったです.