- 作者: 飛浩隆
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2016/11/26
- メディア: 単行本
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どんな形容もおっつかない。
星窓 remixed version
塩ではない。霜でもない。
星だ。
本物の星は、美しくなんかない。
星ぼしは人間にまったく関心なく、ただ超然と、荒涼とかがやくだけだ。
だからこそいつまでも見ていたいんだ。
個体にはたいした情報処理応力があるわけではない。それはいい。ただ、じぶんの〈さみしさ〉を自覚してくれればいい。数億の、数百億の、数兆の個体がそれぞれに感じる孤独、分節の悲しみを内面でしずかに奏でていてもらえばいい。
はるかな響き
「海の指」,「星窓 remixed version」,「#銀の匙」,「曠野にて」,「自生の夢」,「野生の詩藻」,「はるかな響き」.七編を収録した10年ぶりの短編集.SFとしてのアイデアと結びついた「文字」や「言葉」へのこだわりがすごい.言葉で世界が作られる,という言葉が何重もの意味を持つことを実感するというか.表題作から始まる,アリス・ウォンを中心とした一連の物語に特に強く実感する.本当に良い作品集だと思います.