- 作者: 佐野徹夜
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2017/02/25
- メディア: 文庫
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「なぁ、まみず」
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僕は彼女に聞いてみたくなった。
「ん?」
「まみずは、自殺したいと思ったことあるか?」
まみずは表情一つ変えず、日常会話と同じトーンで答えた。
「毎日、思うよ」
発光病にかかった人間は,月の光に照らされると体が蛍光色のように淡く光を放つという.高校生の卓也は,発光病のために学校に来られない同級生,渡良瀬まみずに,寄せ書きを持っていく役目を仰せつかる.まみずの病室を訪れた卓也は,余命がわずかだという彼女から,「死ぬまでにしたいこと」を代わりにやってほしいと頼まれる.
難病にかかった少女との最後の日々を静かに描く.第23回電撃小説大賞,大賞受賞作.オーソドックスにまとめた難病ものだと思う.派手さはないのだけど,母がいて父がいて友人がいて,という人間関係をしっかりと描いているのが良い.卓也の姉と香山の兄の関係とか,まだ掘り下げられそうなところを残しているのは,書ききれなかったのかあえてなのか.正直,物語はあまり好みではないのだけど,姿勢は買いたいと思います.