長谷敏司 『ストライクフォール』 (ガガガ文庫)

「これが宇宙か」
角度が変わったせいで、眼下に青い光が見えた。
大気が強い光をゆらめかせ、青い輪郭をぼやかしている。とてつもなく巨大なその球体のことを、彼らはみんなよく知っている。
「地球だ」

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《宇宙の王》を名乗る異邦人がもたらした万能の泥は,地球の歴史を大きく変えた.万能の道具を手にし,戦争を行う意味を失った人類は,擬似戦争としての競技,ストライクフォールをはじめる.
地球近傍を舞台に,ロボット競技のプロリーグにかける青春の物語.16歳でプロリーグデビューを控えた天才の弟と,一歩遅れを取って後を追う兄.読んだひとが揃って『タッチ』だと言ってたのだけど,確かに『タッチ』だった.タッチというかスペースタッチというか,ストレートな物語が長谷先生の独特の文体が妙にハマっている.宇宙でのスピード感やスケールだったり,はじめて軌道上から地球を見た主人公の視点だったり,SFとしての描写はさすが.眩しい.しかし,綺麗に話が終わっているので,ここからどう続けるのかが気になるところ.二巻も買ってあるのでゆっくり読ませていただきます.