枯野瑛 『終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか? #3』 (スニーカー文庫)

「救ってくれなんて、誰も言ってないのに」
――誰に聞かせるためのものでもなかったはずの、その一言。
それを受けて、フェオドールもまた、誰に届けるつもりもない言葉を、つぶやき返す。
「そんなことすら言葉にしないからめんどくさいんだよ、君たちは」

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あれから10日が過ぎた.ひとりの少女が消え,ひとりの少女が意識を失うことで,〈獣〉を撃退したという事実は極秘事項とされたまま,街は少しずつ終わりを迎えようとしていた.フェオドールは長年の計画の実行を開始する.
先輩にあこがれていた少女は,もがいてもがいて,いつの間にか追いついていた.義兄の遺志を継ぐことを誓っていた少年の前に,少女が立ちはだかる.静かに,それでいて大きな転回を迎えるシリーズ三巻.そのわりには静かというか,もっというと地味な巻ではあるのだけど,大きな災いを経て,出会ったときとは別の立場に立つティアットとフェオドールがとても良い.それぞれ真正面からぶつかりつつ,揃って成長していく姿を率直に描いているのが本当に積み重ねになっていると思う.