川岸殴魚 『勇者と勇者と勇者と勇者 5』 (ガガガ文庫)

かつて、といってもたかだか数週間前だが、ルディは勇者としていかに生きるべきか迷っていた時期があった。

そんな折にルディはロットと出会った。

そしてロットの自由奔放でなにものにもとらわれない古き良き勇者のスタイルに憧れ、行動を共にした。他人の家に勝手に上がり込み、クローゼットをあさり、道具屋の宝箱を無断で開ける。そんな日々……。

その結果、かなりの速度で憧れは消え、むしろ軽蔑の念すら湧き起こったのだった。

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馬鹿の賢者,ソニアが再びコーポ勇者を訪れた.彼女はこの安アパートの地下にかつての魔王城が眠っていると馬鹿なことを言う.そんな馬鹿なと笑うルディだったが,床板の下の螺旋階段の先には謎の広大な空間が広がっていた.

「勇者あまりの時代」を描いたコメディの最終巻にして,薬物依存の悪循環の図をテキストだけで表現した最初の小説だと思う.物件の支配者たる大家といい,“どこの業界にもいる、なんだかわからないけど、偉い人の周りでフラフラしているフリーのおじさん的ポジション”といい,いつもながら,着眼点とギャグの切れはほんとにすごいと思うし,ちゃんとハッピーエンドで〆てくれるのもいい.「邪神大沼」,「人生」に引き続き,安定して楽しゅうございました.次回作も楽しみにしております.