志倉千代丸 『Occultic;Nine③ -オカルティック・ナイン-』 (オーバーラップ文庫)

Occultic;Nine3 -オカルティック・ナイン- (オーバーラップ文庫)

Occultic;Nine3 -オカルティック・ナイン- (オーバーラップ文庫)

なにもない。

彼らはただ静かに、機械的に、自ら池に身を投げて死んでいったのだ。

死ぬ理由もなにも、そこにはなかった。

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井の頭公園の池から256人の自殺者が見つかった,通称ニゴロ事件.ニュースで発表された死亡者リストの中に,悠太は自分の名前を見つけてしまう.何かの間違いに違いないと笑い飛ばす悠太だったが,その中にキリキリバサラのメンバーの名前を次々と見つけてしまう.

主要な登場人物は全員死んでしまいました.ということをひたすらネチネチ書いている,シリーズ第三巻.回りくどいテキストの密度に比べて,明かされる情報の密度はあきらかに薄いのだけど,わりとさくさく楽しく読んでしまう.いかにもテキストゲーム風のテキストは,好かないひとはとことん好かない気がするけど.

コトリバコにサイコメトラー,自分の死体との対面と,オカルトネタと陰謀論を詰め込めるだけ詰め込んだ,行方の見えない物語はとにかく楽しいの一言.名前を借りるだけでなく,ちゃんとオカルトを描いた作品はだいたいハズレがないと思うのよね.どういう風になるのかさっぱり想像がつかない.楽しみにしております.