酒井田寛太郎 『ジャナ研の憂鬱な事件簿2』 (ガガガ文庫)

ジャナ研の憂鬱な事件簿 2 (ガガガ文庫)

ジャナ研の憂鬱な事件簿 2 (ガガガ文庫)

「だからさ、推理しろなんて言ってないじゃん。注意深く見なさい、ってこと。モテないよ?」

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しかし、もしその時の自分を、鏡で見ることができるなら。

真相の究明を錦の御旗に掲げながら、暗い秘密を覗き込んでほくそ笑む、いやしい顔があったに違いない。

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ジャナ研こと海新高校ジャーナリズム研究会に今回も難題が降りかかる.日常の謎を解き明かす学園ミステリのシリーズ二巻.事件を解決することのカタルシスと,真実を明らかにすることに伴う様々な感情のバランスが良いというか,不思議な形で釣り合いが取れている.真冬さんが言うところの「もやもや」した気持ちになれる,まさにタイトルに偽りなしの憂鬱な事件簿.事件が解決されるに連れて,中学時代の啓介の闇が少しずつ明らかになり,ますます憂鬱が増していくという.古典部シリーズとはまた違う,独特の読後感がある作品だと思う.