円居挽 『その絆は対角線 日曜は憧れの国』 (創元推理文庫)

その絆は対角線 (日曜は憧れの国) (創元推理文庫)

その絆は対角線 (日曜は憧れの国) (創元推理文庫)

別に大好きではないが決して嫌いでもない……そうやって続く関係があってもいいではないか。それに自立した大人同士の付き合いというのは、案外こういうものかもしれない。

だから千鶴は、精一杯の意地悪な笑顔で真紀にこう言った。

「だって神原さんが間違った時は、わたしの出番ですから」

4人の女子中学生の,カルチャーセンターでの日曜だけの交流と日常の謎を描く.シリーズ二巻.語りては学校も生活環境もぜんぜん違う少女たちだけど,基本的に登場人物たちは皆とても頭が良い.お互いの持つ問題意識や相容れないものは明確に理解しており,筋道が通っている.良い意味でストレスがない.「若い頃をどう生きるか」というテーマで書かれたとのことで,四者四様,自分をしっかり持った少女たちの生きざまに,背筋が伸びる思いでありました.あと,前も書いた気がするけどあとがきがいいんだよね.それぞれ方向性は違うのだけど,個人的には深見真,紅玉いづき,円居挽が三大あとがき作家だと思っております.