平鳥コウ 『JKハルは異世界で娼婦になった』 (早川書房)

JKハルは異世界で娼婦になった

JKハルは異世界で娼婦になった

こうしてあたしは、異世界で娼婦になった。

元の高校生活には未練しかないんだけど、一回死んで飛ばされてしまった世界だし、帰れるような話も全然ないし、とりあえずがんばって生きてくしかない。

JK小山ハルの人生は、オタクくさいソシャゲみたいな世界で、ひっそりと春を売ることでリスタートするのだった。

交通事故にあった女子高生,小山ハルは異世界に転生した.何の力も与えられず,男尊&女卑の異世界で生き抜くために,ハルは春を売ることにした.

小説家になろうで連載された18禁小説の書籍化.どこにでもいる普通の女子高生だったハルが,異世界の娼館で体を売る日々を描く.厳しい男尊女卑によって冒険者になれず,出来ることは客に抱かれ,昔の同級生に抱かれること.一部で話題になっていたので,フェミニズムとかジェンダーを前面に出した話なのかと思っていたけれど,強い主張が出ているわけではない,と思う.娼婦をやりながら,いろいろありつつたくましく生きて,成長し変化していくハルの視点を描いていくことが,「そういう」物語にしたのかなという印象を受けた.悲惨さと背中合わせの日常だとか,ときどき差し挟まれる鋭い言葉にぞっとしたりだとか,そういったものも含めて.

ギミックはなんだかんだと異世界転生ものだしチートも出てくるし,それらを使ったいかにもなご都合主義も見え隠れするので,ある程度読むひとを選ぶ小説ではあると思う.読んで良かったです.

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