こばやしゆうき 『純情感情エイリアン ①地球防衛部と僕と桃先輩』 (スニーカー文庫)

純情感情エイリアン〈1〉地球防衛部と僕と桃先輩 (角川スニーカー文庫)

純情感情エイリアン〈1〉地球防衛部と僕と桃先輩 (角川スニーカー文庫)

「槍を持ってるんだから刺せよ赤城!」

黒先輩の怒号が飛んだ。そんな事言ったってさ~。僕は仕方なく目をつぶって思い切り長い槍を突き刺す。一匹の芋虫にジャストで刺さってしまいました。体液がほとばしる。感触があ。感触がぁ~。ううううう。

高校入学の初日.壇上に上がった先輩に一目惚れをした僕は,先輩の所属する地球防衛部に入部した.部員たちとともに地球防衛に励む日々が始まった.

迫りくる虫型宇宙人から地球を守るのだ地球防衛部.第9回角川学園小説大賞・自由部門奨励賞受賞作.部活の設定といいウザい地の語りといい,いかにもハルヒのコピーっぽい.全編に渡る主人公の語りは基本的に軽いのだけど,巨大な芋虫を刺し殺すにも上記の通りだわ,同級生が卵を植えつけられたうえで内蔵を食い尽くされて殺されてもあっさりしているわで,自我があるのだろうかと訝しくなる.いちおう理由はあるようなのだけどちょっと怖い.「人間が描けていない」と一昔前だったら言われたレベルではないかなあ.