「英雄とは希望を紡ぐすべての者だ。希望という灯火を受け継いだ者はみな英雄なのだ」
人類と邪族がそれぞれの生存をかけて全面戦争をしていた時代。不治の病を抱える妹とふたりで暮らしていた少年は、妹の治療のため、人類の切り札である〈勇者の剣〉捜索隊に加わる。
とある少年と騎士たちが英雄となるまでの物語。第19回小学館ライトノベル大賞優秀賞受賞作。英雄とは勇者だけではなく、希望を紡ぐ者たちだ、という王道のファンタジーだと思う。暁の騎士団のメンバーそれぞれの過去や生き様を、群像劇のスタイルで語り、重い過去を抱えた盲目の魔術師や、耳を削がれた破戒僧といった面々も、良い意味で印象が変わってゆく。2/3を過ぎたくらいでタイトルやストーリーテリングの意味に気づけたときには素直に感動した(たぶん平均的読者より遅かったと思う)。派手ではないけど、とても誠実な物語だったと思います。
ミストラに背を向けて山道を駆けつづけた。すっかり夜の闇があたりを覆っている。
息が苦しい。肺が灼けるようだ。足が重たい。関節が痛い。体がバラバラになりそうだ。
身に着けている全てが邪魔くさい。叶うなら捨ててしまいたい。
背嚢も、弓も、矢筒も、小刀も、地図も、携帯食料もぜんぶぜんぶ。
とりわけ、抱えている〈勇者の剣〉が重たい。軽いのに、重たい。
フォーデン王国の未来がかかった代物だ。




