僕の魔剣が、うるさい件について 3 「僕の魔剣」シリーズ (角川スニーカー文庫)
- 作者: 宮澤伊織
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
- 発売日: 2012/10/17
- メディア: Kindle版
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“我は何者だ? 我々とは、魔剣とは、何なのだ? 今までこんなことを考えたことはなかった。おまえは我に、我の存在そのものへの疑問を植え付けたのだ!”
いろいろありながら,
それぞれの思惑のもと,全面衝突する
kanadai.hatenablog.jp
僕の魔剣が、うるさい件について 3 「僕の魔剣」シリーズ (角川スニーカー文庫)
“我は何者だ? 我々とは、魔剣とは、何なのだ? 今までこんなことを考えたことはなかった。おまえは我に、我の存在そのものへの疑問を植え付けたのだ!”
いろいろありながら,
それぞれの思惑のもと,全面衝突する
「
女神 は、気が遠くなるぐらい長い時間を、一人で過ごしていた。ある日、どうしようもなく一人が寂しくなって……髪の毛を二つに結んだの」ソーラは自分のツインテールを手で掬い、哀しげに見つめた。
「きっと一つが嫌で……二つを求めたんだ」
ひとりぼっちの創造神が寂しさのあまり結んだツインテール.その瞬間から,宇宙が分岐し続ける運命が決まった.シリーズ15巻.山場がツインテイルズ対イビルテイルズだったり,伏せられていた
俺と白馬がフリートの傍にいくと、列の対応をしていた店員が俺に羊皮紙でできたメニュー表を渡し、先に欲しい味と数量を決めておくようにと言った……ていうか此のシステムって台北東区に軒を連ねてるスイーツの店のやり方じゃねーか、なんで異世界に来てまで台湾のやり方で列作ってんだ俺は!
世界的なコックを父に持つ高校生の慕飛は,たまたま居合わせたニートといっしょにトラックに轢かれて異世界に転生してしまう.転生するにあたって異能力を授かることのなかった慕飛は,ケチくさいハーフエルフの村で,「天選之子」として祭り上げられるニートにあごで使われることになってしまう.そこに一匹のドラゴンが現れ,村人たちの生活は大きく変わってしまう.
第三回台湾角川華文軽小説大賞を受賞した『美味的異世界料理,需要加點龍01』の邦訳.海外小説とは思えないほど,異世界転生もののお約束というか,フォーマットを踏襲している.そういう理由で新鮮味がかなり薄く,どうしても細かいところに目が向く.龍のネーミングの「雉龍」,「松露龍」,「銭龍」だとか,怪我や死人がライトノベルらしからぬガチのやつだとか,放送禁止用語が自然に出てくるだとか.違いのわかる読者なら良いのかもしれないけど,自分的にはあえてこれを読む(すすめる)理由がないかなあ.
「なんてつまらない世界だろう。すべてが科学的で、『
正体不明 』の不明な世界。こんなにも無粋な世界で生きていたって、愉しいことなんて何もない。桜井くん。『異世界に行ける方法』の噂に一縷の望みを託すのも、これじゃあ仕方のないことだと思わないかい?」
猟奇殺人事件から半年.
新しい現代怪談.「異世界転生」をテーマに取り上げているのだけど,都市伝説とかけ合わせて,こういう風に扱った小説は読んだことがない.オカルトとインターネットと異世界転生が,三題噺のように鮮やかに,それでいて変な方向にしっかりと風呂敷を広げながら,一連の出来事がつながっていくのがとてもバカバカしく,とても楽しい.群像劇風に話が進み,全員に活躍の場があるのも良いところ.新しくて完成された,とても良いホラーだと思います.
この教室はとっくに狂い始めているんだ。
これから不幸になるひとを好きになってしまう“死神”日比野明日香に,雨ケ崎誠也が見初められてから一ヶ月が経った.彼女の助けによってなんとか災難をやり過ごして来た誠也だったが,演劇部の倉庫が全焼する事件に巻き込まれ,入院する羽目になる.事件の裏には,演劇部員をはじめとした様々な思惑が渦を巻いていた.
その少女に好かれた相手は99パーセント不幸になる.生き残るための1パーセントを目指してもがいてゆく高校生を描く学園ミステリ.ひとを操るという「祭」と,九尾の狐と帝の伝説の「見立て」をキーにした謎の組み立てもさることながら,演劇部員たちの描写がとても良かった.最初は友好的だったのに,裏の顔を持ち,いつの間にか話す理屈がおかしくなってゆく.本人たちはその理屈のおかしさがわかっていない.言葉は通じるのに,話がまったく噛み合わない相手がいかに気持ち悪くて恐ろしいかを存分に見せつけられる.
そこからの後半.「あまりに人として終わっている」黒幕を追い詰め,説得する方法が力技すぎてちょう楽しい.よりによってそれか! という落差からくるカタルシスがすごすぎて笑ってしまった.ちゃんと説得力があるし,良い意味で脱力する.ひたすら暗黒ミステリだったデビュー二作に比べると妙にユーモアもあるし,良い感じに力が抜けてきているのではないでしょうか.今後も楽しみにしております.