「もう忘れてしまいました。わたくし忘れっぽい性質なので」
シスター・ソフィアがにっこりと笑う。
忘れられるものだとも思えないが。
「あの燃え盛る炎と、あの感情は心に焼きついて離れません。ですが、細かいことは随分と記憶が薄れてしまいました。。でも記憶が薄れても、あのときの悲しみと怒りはさらに深く、濃くなっている気がするのです」
正教会から魔女認定されたシオン・ウォーカーは、大衆の面前で断頭台にかけられようとしたそのとき、ひとりのシスターに命を救われる。邪眼の聖女、シスター・ソフィアのキスで触手召喚の力に目覚めたシオンは、シスター率いる邪教徒たちと協力し、正教会との戦いに身を投じる。
右手に生えた触手を振るい、正教会と勇者に抑圧された地獄のような世界を解放する。コメディの風味をまぶしたダークファンタジー。ギャグとシリアスがシーンを分けずに混じり合う、独特で不思議な作風は変わらぬまま。いくらかダークファンタジーに比重が寄っていたかな? ストーリーはオーソドックスだと思うので、突き抜けた部分が出てくればいいなと思う。期待しています。