2020-01-01から1年間の記事一覧

松村涼哉 『監獄に生きる君たちへ』 (メディアワークス文庫)

監獄に生きる君たちへ (メディアワークス文庫)作者:松村 涼哉発売日: 2020/12/25メディア: 文庫 ――あぁ、この監獄に監視者はいなかったんだ。誰も自分など監視していない。そして、ここに暮らす住人全員、誰かが監視していると思い込んでいる。だからどれだ…

宮澤伊織 『裏世界ピクニック5 八尺様リバイバル』 (ハヤカワ文庫JA)

裏世界ピクニック5 八尺様リバイバル (ハヤカワ文庫JA)作者:宮澤 伊織発売日: 2020/12/17メディア: Kindle版 「お互いを巻き込むとかどうとか、私たち、そんな段階、とっくに通り過ぎてるんじゃないかな、空魚。私たち、この世で最も親密な関係なんでしょ?…

逆井卓馬 『豚のレバーは加熱しろ(3回目)』 (電撃文庫)

豚のレバーは加熱しろ(3回目) (電撃文庫)作者:逆井 卓馬発売日: 2020/12/10メディア: Kindle版 我々は軽視されてきたからこそ、こうして重要な場面に立ち会っている。覚えておいてくれ。本当の意味で歴史を変えるのは、歴史から見向きもされてこなかった…

ヰ坂暁 『僕は天国に行けない』 (講談社タイガ)

僕は天国に行けない (講談社タイガ)作者:ヰ坂 暁発売日: 2020/12/15メディア: 文庫 疎外感。皆が涙する美しい物語が、嘘っぱちだと俺は知っている。 「死んだらどうなるのかな、人って」。余命数ヶ月の親友、狭山殉は溺れる子供を助けようとして溺死した。葬…

鏡征爾 『雪の名前はカレンシリーズ』 (講談社ラノベ文庫)

雪の名前はカレンシリーズ (講談社ラノベ文庫)作者:鏡征爾発売日: 2020/11/30メディア: Kindle版 きみはいつか必ず死ぬ。物語に始まりも終わりもないように、きみの人生にも終わりも始まりもない。きみの人生は最初から始まっていて、最後まで終わっている。…

酒井田寛太郎 『放課後の嘘つきたち』 (ハヤカワ文庫JA)

放課後の嘘つきたち (ハヤカワ文庫JA)作者:酒井田 寛太郎発売日: 2020/11/19メディア: Kindle版 「なぁ。どうして君たちは、いつもそうなんだ?」常に余裕をまとわせ、人を見下したような物言いをする御堂にしては珍しく、苛立ちを含んだ口調だった。「一人…

凪乃彼方 『同い年の先輩が好きな俺は、同じクラスの後輩に懐かれています』 (MF文庫J)

同い年の先輩が好きな俺は、同じクラスの後輩に懐かれています (MF文庫J)作者:凪乃 彼方発売日: 2020/11/25メディア: Kindle版 「……誰も好き好んで、少数派になりたがる奴なんていないだろ……」 一年の浪人の末、一年遅れで高校進学を果たした高村颯太。浪人…

森林梢 『殺したガールと他殺志願者』 (MF文庫J)

殺したガールと他殺志願者【電子特典付き】 (MF文庫J)作者:森林 梢発売日: 2020/11/25メディア: Kindle版 「実を言うと、私は心のどこかで、あの苦痛を忘れたくないと思っています」激しく同意した。苦痛は俺の根幹だから。 最愛の人に殺されたいと願う高校…

二語十 『探偵はもう、死んでいる。4』 (MF文庫J)

探偵はもう、死んでいる。4【電子特典付き】 (MF文庫J)作者:二語十発売日: 2020/11/25メディア: Kindle版 「いいか。俺たちの世界では常識とか葛藤とか足踏みとか、そういうテンポが悪くなりそうになる要因は全部すっ飛ばす方針でいくって決まってるんだ」…

竹田人造 『人工知能で10億ゲットする完全犯罪マニュアル』 (ハヤカワ文庫JA)

人工知能で10億ゲットする完全犯罪マニュアル (ハヤカワ文庫JA)作者:竹田 人造発売日: 2020/11/19メディア: Kindle版 「立場でも、善悪でも、損得でもない。僕は今、技術の話をしているんです」五嶋はしばらく黙り込んでから、「相棒選びがピーキー過ぎたな…

十三不塔 『ヴィンダウス・エンジン』 (ハヤカワ文庫JA)

ヴィンダウス・エンジン (ハヤカワ文庫JA)作者:十三 不塔発売日: 2020/11/19メディア: Kindle版 ここはドユンのアパートだろうか、それとも僕の部屋だろうか。見えるのは時計の秒針だけ。秒針だけが虚空を回転し続けている。もうすぐ僕の症状は完成するだろ…

遍柳一 『ハル遠カラジ4』 (ガガガ文庫)

ハル遠カラジ 4 (ガガガ文庫)作者:遍柳一発売日: 2020/11/18メディア: Kindle版 また自分は、あの夏の、イスラエルでの記憶の中にいる。どうやって、ここまで辿り着いたのかは覚えていない。けれど、私はこの場所で、とても大切な人を捜していた。 ライドー…

手水鉢直樹 『魔力を統べる、破壊の王と全能少女2 ~魔術を扱えないハズレ特性の俺は無刀流で無双する~』 (電撃文庫)

魔力を統べる、破壊の王と全能少女2 ~魔術を扱えないハズレ特性の俺は無刀流で無双する~ (電撃文庫)作者:手水鉢 直樹発売日: 2020/10/10メディア: Kindle版 「砂埃にまみれたあなたも美しい」「ゲスが」「ああ、あなたの声が心地いい。あなたの罵声すら、…

二月公 『声優ラジオのウラオモテ #03 夕陽とやすみは突き抜けたい?』 (電撃文庫)

声優ラジオのウラオモテ #03 夕陽とやすみは突き抜けたい? (電撃文庫)作者:二月 公発売日: 2020/11/10メディア: Kindle版 あぁ。なんて、格好悪い。情けない。恥ずかしい。なんで。辛い。もうやだ。弱音が溢れるように、涙がぽろぽろと流れ始める。目をぎゅ…

周藤蓮 『吸血鬼に天国はない④』 (電撃文庫)

吸血鬼に天国はない(4) (電撃文庫)作者:周藤 蓮発売日: 2020/11/10メディア: Kindle版 「この恋心は永遠で、確かで、ずっと変わりません」恐怖に何よりも似た甘やかさで囁きが届く。「だからシーモアさん、私に任せて、楽になってくださいね」それはすな…

岬鷺宮 『日和ちゃんのお願いは絶対2』 (電撃文庫)

日和ちゃんのお願いは絶対2 (電撃文庫)作者:岬 鷺宮発売日: 2020/11/10メディア: Kindle版 「――そう。つまり、あなたたちは」――女王陛下は。銀色の巻毛と青い瞳が印象的なその老女は――。資料PDFの表示されたiPadを受け取り、意外にも中流階級っぽい英語でわ…

牧野修 『万博聖戦』 (ハヤカワ文庫JA)

万博聖戦 (ハヤカワ文庫JA)作者:牧野 修発売日: 2020/11/05メディア: Kindle版 今のサドルには、大好きな父親が幾度も自殺を試みていた気持ちが少しだけわかる。あれは生きたかったのだ。生きたかったからこそ、死を経験しようと思ったのだ。死にたくなるよ…

枯野瑛 『終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか? #09』 (スニーカー文庫)

終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?#09 (角川スニーカー文庫)作者:枯野 瑛発売日: 2020/11/01メディア: Kindle版 「自分の好きなものばかり守ってて許されるのは暴君と、あと、お話の中の主人公だけ。嫌いなものも守るつもりでこその守護者で…

石川博品 『ボクは再生数、ボクは死』 (エンターブレイン)

ボクは再生数、ボクは死作者:石川 博品発売日: 2020/10/30メディア: Kindle版 「死んで償え。そしてボクたちの動画の高評価を増やせ」シノは銃口を男の口につっこんだ。「クソ女」男は口がふさがっているのに明瞭な口調で言う。視線がポンチョの下、何も穿い…

玩具堂 『探偵くんと鋭い山田さん2 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる』 (MF文庫J)

探偵くんと鋭い山田さん2 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる【電子特典付き】 (MF文庫J)作者:玩具堂発売日: 2020/10/24メディア: Kindle版 「あなたたちの『探偵』は……そういうことだと思う。善いとか悪いとかじゃなく、事件や関わった人たちへ…

斜線堂有紀 『死体埋め部の悔恨と青春』 (ポルタ文庫)

死体埋め部の悔恨と青春 (ポルタ文庫)作者:斜線堂有紀発売日: 2019/08/16メディア: Kindle版 朝日はこの上なく眩しかった。さっきまで震えていたはずの身体が、生まれたての日差しに包まれていく。恐ろしいことだと思った。このままだと、一連の出来事が美し…

円居挽 『さよならよ、こんにちは』 (星海社FICTIONS)

さよならよ、こんにちは (星海社FICTIONS)作者:円居 挽発売日: 2019/03/17メディア: 単行本(ソフトカバー) 「たとえ負ける運命が決まっていても、負け方は変えられるんだよ。同じ倒れるにしたって前のめりに力強く倒れたなら、きっとまた起き上がれるさ」 …

森川智喜 『死者と言葉を交わすなかれ』 (講談社タイガ)

死者と言葉を交わすなかれ (講談社タイガ)作者:森川 智喜発売日: 2020/10/15メディア: 文庫 本章では「死者の言葉」事件を例に取り考察を深めようと思うが、読者は注意されたい。一見ありふれているがそのじつ恐ろしさに満ちる「死者の言葉」事件。前章まで…

カミツキレイニー 『魔女と猟犬』 (ガガガ文庫)

魔女と猟犬 (ガガガ文庫)作者:カミツキレイニー発売日: 2020/10/21メディア: Kindle版 荷台の中央に、見知らぬ男が立っている。黒い兜に、黒い手甲と黒いすね当て。胴当てだけは未装着で、黒の衣装に包まれた胸部と腹部は晒している。そのせいか、非常に華奢…

周藤蓮 『髭と猫耳』 (星海社FICTIONS)

髭と猫耳 (星海社FICTIONS)作者:周藤 蓮,鍋島 テツヒロ発売日: 2020/10/20メディア: 単行本(ソフトカバー) 「あ、じゃあこうしましょう」エミリアが思いついたように、いった。「三十年後、お互いに独身だったら結婚しましょ?」頬杖をついた彼女の顔を炉…

宮澤伊織 『裏世界ピクニック4 裏世界夜行』 (ハヤカワ文庫JA)

裏世界ピクニック4 裏世界夜行 (ハヤカワ文庫JA)作者:宮澤 伊織発売日: 2019/12/19メディア: Kindle版 お風呂で、二人きりで、肩が触れあっていたあのとき……やっぱり、あのときの私たちはちょっとおかしかった。いや違う。鳥子がおかしかった。私じゃなくて…

鶴城東 『クラスメイトが使い魔になりまして4』 (ガガガ文庫)

クラスメイトが使い魔になりまして (4) (ガガガ文庫)作者:東, 鶴城発売日: 2020/08/20メディア: 文庫 俺は千影に才能を与えるために、神の所有物へと成り下がった。さらに、もののついでとばかりに、世界を書き換えられたのだ。三条想太が生まれなかったとい…

赤月カケヤ 『それでも、好きだと言えない』 (講談社ラノベ文庫)

それでも、好きだと言えない (講談社ラノベ文庫)作者:赤月 カケヤ発売日: 2020/10/02メディア: 単行本(ソフトカバー) 「たとえ、嘘でも、好きだと言えない」なんで? と僕は思わなかった。彼は僕と同じだ。だから、痛いほどにその本心がわかる。 夏の終わ…

ピーター・トライアス/中原尚哉訳 『メカ・サムライ・エンパイア』 (ハヤカワ文庫SF)

メカ・サムライ・エンパイア (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)作者:ピーター トライアス発売日: 2018/04/18メディア: 新書 「きみは勝つために極端な戦法をとった。最終的な目的を達するために、枝葉末節は無視したわけだ」「その言い方は美辞麗句がすぎると思い…

赤城大空 『出会ってひと突きで絶頂除霊!7』 (ガガガ文庫)

出会ってひと突きで絶頂除霊! 7 (ガガガ文庫)作者:赤城大空発売日: 2020/09/18メディア: Kindle版 いつも必死に誰かを助けようとするその横顔を隣から窺い見るばかりで。そんな晴久を好ましいと思いつつ、自分は心のどこかで――嫉妬していたのだ。古屋君は…