2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧
時守たちのラストダンス作者:東堂いづみ,三萩せんや河出書房新社Amazon だから気づかなかったのだ。このときすでに何を忘れていたか。何を忘れつつあるのかに。 高知から東京へ引っ越した高校入学の日。伊純は入学式で四人の少女と出会う。初対面なのに、お…
ボギー――怪異考察士の憶測 (二見ホラー×ミステリ文庫)作者:黒 史郎二見書房Amazon また、あの夢を見る予感がする。鼻の奥で鉄の臭いがするのだ。発作かもしれない。どちらにしても悪い兆しだ。再び、あの夢を見だしたら、また徒に背が伸び続けるのか。冗談で…
僕の妹は漢字が読める4 (HJ文庫)作者:かじいたかしホビージャパンAmazon 男たちの話は、聞くに堪えなかった。文化特区は嫌なところだと実感する。保守的で、排他的で、凝り固まった頭の人間ばっかりだ。 ギンとクロハの前に、喋るパンティストッキングが現…
オイモはときどきいなくなる (福音館創作童話シリーズ)作者:田中 哲弥福音館書店Amazon 田んぼをぬけて、うら山につづくアスファルトの坂道をのぼってくと、道の両がわでずっとぽちぽちぽちぽち音がしてる。木の葉っぱから水が落ちて、ぽちぽちぽちぽち雨が…
豚のレバーは加熱しろ(5回目) (電撃文庫)作者:逆井 卓馬KADOKAWAAmazon 「生きるのはとてもつらいことです。しかし、死んでしまってから生きたかったと願う方が、もっともっと、つらいことなんですよ」 闇躍の術師に乗っ取られた王と王国を奪還しなければ…
錬金術師の密室 (ハヤカワ文庫JA)作者:紺野 天龍早川書房Amazon 「――まあ、いい。無知蒙昧なきみに、特別に教えてやろう」そう言って、男装の麗人たる錬金術師は握手を解き、胸元に手を添えて朗々と告げる。「私は、テレサ・パラケルスス。真名をテレサフラ…
水の後宮 (メディアワークス文庫)作者:鳩見 すたKADOKAWAAmazon 同僚が殺されかけたのに宮女たちがのんきなのも、市井の感覚が欠落しているからかもしれない。後宮において「宮女の命が軽い」というのは、事実を超えてもはや常識であるようだ。それを悟った…
僕たちはまだ恋を知らない ~初恋実験モジュールでの共同生活365日~【電子特典付き】 (MF文庫J)作者:鶏卵 うどんKADOKAWAAmazon 歳を取って思い出し、「あの一年」が自分の人生を決定づけたと確信できる一年が誰にでもあるのだそうだ。そして僕にとっての「…
インフルエンス・インシデント Case:02 元子役配信者・春日夜鶴の場合 (電撃文庫)作者:駿馬 京KADOKAWAAmazon 僕は……否、僕たちは『共感』の強さを知っている。インフルエンサーは共感の上に成り立つ存在だから。自分のことを受け入れてくれる人がいるからこ…
楽園殺し 2 ~最後の弾丸~ (ガガガ文庫)作者:呂暇郁夫小学館Amazon 人を、斬ってきた。それはもう、数えきれないほどに。生まれついての剣士というわけではなかった。人生の途中で、修羅にならねばならない転機が訪れただけのことだ。そういうことは、この…
公務員、中田忍の悪徳 (ガガガ文庫)作者:立川浦々小学館Amazon 《エルフ》が、初めて喋った。喋ったのだが。「ボベャルカッアッツロヌ」ボベャルカッアッツロヌと言っていた。誰も口に出さないのは、ちゃんと発音できる自信がないからであろう。 区役所福祉…