月村了衛 『機忍兵零牙』 (ハヤカワ文庫JA)

機忍兵零牙 (ハヤカワ文庫JA)

機忍兵零牙 (ハヤカワ文庫JA)

声もなく倒れる四人の下忍。
「──!?」
骸魔忍群が頭上を振り仰ぐ。
蒼白い月を背に、佇立する石柱の上に立つ黒い影。
不敵の笑みを浮かべ、骸魔の衆を見下ろし呟いた。
「零牙参上」

機忍兵零牙 (ハヤカワ文庫JA) | 月村 了衛 |本 | 通販 | Amazon

忍びとは,次元の彼方,別の世界から来た者を言う.数多の次元を滅ぼしてきた無限王朝麾下の殺戮集団,骸魔衆の襲撃によって,ここにひとつの国が滅びようとしていた.そこに現れたのは,永遠の反逆者にして伝説の忍び・光牙衆のひとり,零牙であった.
亡国の姫と若君を護衛する零牙たちに襲いくるは,骸魔衆頭領・骸魔死皇丸率いる骸魔六機忍.生き残るは,光牙か骸魔か.帯曰く「ゴシック忍風伝奇アクション」.テイストは正統派の特撮ヒーローものか,『サイボーグ009』か.それぞれがひとつずつ持つ異能力に加えて,光線やらシールドやらを当然のように使いこなす忍びたちの戦いに,ケレン味の効いたテキストも相まってテンションがめちゃくちゃ上がる.
SF の「S」の情報の出し方も上手かった.基本的に最小限に抑えつつ,たまーに思い出したかのように付け加えられる解説は対消滅やら亜空間やら.このチョイスと見せ方が,ボンクラ然とした,非常にいい味を生んでいたように思う.おかげで,なんかよくわかんないけどカッケェ! と素直な気持ちでノリノリで読めた.ムチャクチャ面白かったです.