- 作者: 虚淵玄,中央東口
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/02
- メディア: 文庫
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バトルはカコヨイ.クライマックスもラストも良かった(一方的な男性視点で書かれているのでひく人はいるかもしれないが).
なのに,何か足りないような気がするのはなぜだろう.前巻でも同じ感想を書いたかもしれないけど,どこか「軽い」.原作のゲームをテキスト起こしする際,文庫では表現できない音や映像の演出を考慮することを忘れていたとか,もしくは単純にページが不足していたとか,原因についてはいくつか理由は考えられる.
のだけど,後書きを読んで少し納得した.作者はこの作品の文庫化にあまり気乗りしていなかったらしい.以下一部引用.
(前略)
この本は角川スニーカー文庫というブランド力の威を借りて、全国の書店に置かれることになるのだろう。やがては『ファントム』や『ヴェドゴニア』がそうであったように、PCソフト版の出荷本数すら凌駕してしまうのかもしれない。販路が違う。価格が違う。よりマスなメディアである書籍に、エロゲーは決して敵わない。
だが新たにこの本を手に取る方々は、活字と挿絵だけの鬼哭街に触れることになる。彼らが結末を読み終えるときに、その耳に『涙尽鈴音響』*1が届くことは、ない。
それを思うと、やるせなさに目頭が熱くなった。あの曲によって『鬼哭街』という物語は完成するというのに。その事実を忘れ去られたまま、これからの鬼哭街は続いていく。
(後略)
プロットは好きなほうだし,機会があったらゲーム版もやってみたい.
*1:引用者註:ゲーム版のエンディング曲